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事業概要

(1)当社グループの事業の内容について

当社グループは、当社及び連結子会社であるLINICAL USA, INC.1社で構成され、製薬会社の医薬品開発における治験の一部を受託するCRO事業を展開しております。
近年、製薬会社は、特許切れや薬価下落の問題を背景として、多額の研究開発費を投じて、新薬開発に挑んでおります。このような中、製薬会社のCROに対するアウトソーシングのニーズが高まっているものと当社グループは考えております。
製薬会社が有する様々なニーズに応えるため、業務内容を多角化すると共に業務形態も多角化し、治験業務全般のアウトソーシングを受託するCROや派遣型、受託型、あるいはそれらの混合型などのビジネスモデルを展開しているCROが既に存在しております。
しかしながら、当社グループは同業他社との差別化を図り、製薬会社から高い評価を獲得するためには、業務内容や業務形態を多角化するよりも、選択と集中を推し進めることが重要であると考えております。実際にCRO先進国といわれる欧米では特定領域の治験に特化することにより製薬会社から高い評価を得ているCROが存在しております。
このような考えの下、当社グループは、医薬品開発の中でも難易度・重要度の高いフェーズII及びフェーズIIIにおけるモニタリング業務並びにそれに付随する品質管理業務及びコンサルティング業務に特化し、100%受託型の業務形態を取っております。
当社グループの事業系統図は次のとおりであります。

事業系統図
(注1) LINICAL USA, INC. は国内の製薬会社の米国進出の支援を目的として、平成20年7月に設立されておりますが、現状では事業展開を行っておりません。

製薬会社における医薬品の研究開発の概要
製薬会社における医薬品の研究開発の概要
製薬会社及びCROにおける治験の概要
製薬会社及びCROにおける治験の概要


(2)当社グループにおけるモニタリング業務、品質管理業務及びコンサルティング業務の概要

モニタリング業務とは、治験の主要業務であり、製薬会社またはCROのモニタリング担当者であるCRA(注2)が、医療機関の治験実施可能性の調査、医療機関への治験の依頼、法令に基づく治験実施に関する契約(製薬会社、医療機関及びCROとの3者契約)の締結手続き、治験責任医師等に対する治験薬概要書(注3)及び治験実施計画書(注4)の説明、医療機関への治験薬の搬入、治験実施時の薬事法・GCP(注5)等の法令及び治験実施計画書の遵守状況の確認、治験の進捗管理、治験データの確認及び症例報告書(注6)の回収、治験薬の回収などを行う業務をいいます。
品質管理業務とは、CRAが作成したモニタリング報告書や入手した手続書類、症例報告書の記載形式や記載内容について、品質管理担当者が関連法規、治験実施計画書及び治験標準業務手順書(注7)等に則った適切性のチェックを行う業務をいいます。
コンサルティング業務とは、製薬会社に対して医薬品開発に係る各種コンサルティングを行う業務をいい、具体的には、治験実施計画書の内容及び治験実施方法等に関する提案や新薬候補物質に関する治験の実施可能性及び治験実施計画等についての調査・報告を行う業務をいいます。
当社グループにおけるモニタリング業務、品質管理業務及びコンサルティング業務の概要については以下の通りであります。

モニタリング業務、品質管理業務及びコンサルティング業務の概要
(注2) CRA(Clinical Research Associate)とは、治験モニターと訳されます。医薬品開発段階での治験が、薬事法その他の関連法令及び治験実施計画書を遵守して行われているかどうかを監視(モニタリング)する担当者のことをいいます。
(注3) 治験薬概要書とは、治験実施期間中の被験者の管理に必要な知識を提供するために作成される書類で、その内容は治験薬に関する非臨床試験及び治験の結果を編集したものとなっております。
(注4) 治験実施計画書とは、プロトコルともいい、治験を実施するにあたって、治験を実施する医療機関、治験を依頼する製薬会社その他、その治験にかかわる関係者が遵守しなければならない事項を網羅的に記載した計画書を指し、治験依頼者(製薬会社)により作成されます。
(注5) GCP(Good Clinical Practice)とは直訳では「適正な治験の実施」を指す包括概念ですが、本邦においては、これを定めた厚生労働省令である「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」及び「医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年3月27日付)並びにこれらの運用通知をいいます。
(注6) 症例報告書とは、治験実施計画書に規定されているすべての情報を記録するために、被験者ごとに作成される報告書(電子記録のものも含む)をいいます。
(注7) 治験標準業務手順書とは、治験が、倫理的な配慮のもとに科学的に適正に実施され、かつ臨床試験結果の信頼性が確保されるように、医薬品開発の基本的な業務手順を体系的にまとめた手順書のことをいい、GCPに基づいて作成されます。


(3)当社グループのCRO事業の特徴

平成9年3月の法改正(新GCP)においてCROの定義が明文化されて以来、その社会的認知度も徐々に向上し、人材の確保・育成がなされ、CRO業界は医薬品の基礎研究から非臨床試験、治験、製造販売後臨床試験など医薬品開発のすべての段階において製薬会社から受託を得られるまでに成長してきたものと当社グループでは考えております。
しかしながら、特に国内大手製薬会社は単なるアウトソーシング先としてのCROではなく、迅速に治験を進めることにより新薬を早期に開発するために、自社開発部門とほぼ同等の能力を有し、同等の立場で医薬品開発を実行・サポートすることが可能なCROを求めていると、当社グループでは想定しております。
そのような中、当社グループは人材面において、国内大手製薬会社で医薬品開発経験を有するメンバーが中心となって創業し、医薬品開発の経験者の中途採用を積極的に実施したことを背景として、現在では国内大手製薬会社との継続的な取引関係を構築しております。
また、当社グループは前述のとおり、製薬会社の医薬品開発のパートナーとしてのCROを実現するためには、業務内容や業務形態の選択と集中を推し進めることが重要であるという考えに基づき事業展開を行っているため、当社グループのCRO事業は以下のような特徴を有しております。

(1)特定業務への特化及び治験段階の特化
治験の業務は、前述のとおり多岐に渡り、一方の治験段階も製造販売後調査も含めるとフェーズI~IVに及びます。これらすべてを網羅的に受託することは当社グループの持つ医薬品開発の知識・技術・経験等の経営資源を分散させることになり、顧客である製薬会社のニーズに対して十分に応えることができなくなると考えております。
従いまして、当社グループでは、医薬品開発ノウハウの分散を防ぎ、当社グループの持つ知識・技術・経験を有効活用し、顧客のニーズに応えるため、治験の主要業務であるモニタリング業務及び品質管理業務並びにこれらにかかるコンサルティング業務に特化した100%受託型の業務形態を取ると同時に、治験の主たる段階であるフェーズII、フェーズIIIに特化して事業を展開しております。

(2)特定の顧客への特化
大手製薬会社は常に医薬品の開発・承認申請業務に着手しており、最新の医薬品開発情報を豊富に所有しているという特徴を有しております。当社グループは国内市場においてこれらの情報をタイムリーに入手し、更なる知識・技術・経験を積み上げていくため、原則として国内大手製薬会社に特化して取引を行っております。
また、製薬会社は、それぞれにその医薬品開発手法及び治験標準業務手順書が独自のものであるという特徴を有しているため、当社グループが多数の製薬会社と取引を行った場合に、それぞれの開発手法及び治験標準業務手順書に対応する必要が生じます。取引先を大手製薬会社に特化することは、手法・手順が多数存在することにより発生するエラーやミスを回避し、治験の品質を高め、競争力を向上させる効果が期待できるものと考えております。